インタビュー映画「ジョーのあしたを観て」…辰吉丈一郎のことを思う。

広告

先日、今春公開された映画「ジョーのあした」が日本映画専門チャンネルで放映された。

阪本順治監督が20年に亘りインタビューして来たものだった。
派手な演出は全くなく、公園や自宅でのインタビュー。
先に話を聞いていた通り、ボクシング技術や試合に関する話は殆どなく、家族やボクシングを継続することへの思いを延々と語られる。

阪本監督の漠然とした質問に真摯に回答する辰吉選手。
何故非難されても現役を続け世界チャンピオンを目指すのか?
それにはやはり父親の粂治さんへの想いが強くあるようだ。

父の元に生まれて良かった。父の元で育って幸せ。
こう言い切る辰吉選手。
僕はそれを聞いてここまで言い切る人が果たしてどれだけいるのだろう?と思った。

客観的には辰吉選手は幼少時代貧しい暮らしをしていた筈だ。
しかしそれを一度たりとも不幸だとか親のせいにした素振りはなく、むしろ幸せだったと言い切る。

普通なら世を拗ねてグレても仕方がない状況で(かなりのワルだったのが可笑しいが)、決して社会的に陽が当たらない暮らし振りの父を尊敬している姿は生まれつきのものなのだろう。

その父を追い越すためにもう一度当てもない世界チャンピオン返り咲きのために彼は今日も練習しているのだ。
それで父との約束は一旦終わり、新たな道を探す。

インタビューで彼は「先のことなど分からないし考えない。今やりたいことに全力で当たるだけでしょ」と言っていたのが印象的だった。
父との約束を果たすために今やることを全力でやる。
若い頃のインタビューだったが、10数年経った今でもそのスタンスは変化していなかった。

僕はこのドキュメンタリーを見るまで辰吉選手の現役にこだわる姿に否定的だった。
仮にも三度世界チャンピオンになった男がむしろ見苦しいとさえ思った。
ダメージの蓄積のこともある。
近年の辰吉選手は喋っていても何を言っているのか分からない状況だ。

しかしこれも何度も言っているように本人が一番よく分かっているのだと思った。
分かって現役を続行しているのである。
再起の当てもなく絶対に四度世界チャンピオンになるために日々努力しているのだ。
そんな彼にアホだ止めろと言えるだろうか?

このドキュメンタリーを観てそう思った。
僕は辰吉選手のやりたいようにする姿を応援したいし、この先も動向を見守って行きたいと思う。

広告

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です