映画レビュー「宇宙からのメッセージ」1978年:スターウォーズブームに刺激されて作られた典型的な和製スターウォーズの雄

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和製スターウォーズの呼び声も高い宇宙冒険剣劇「宇宙からのメッセージ」のレビュー。

概要

1978年公開
製作:東映
出演:真田広之、志穂美悦子、千葉真一、成田三樹夫、ビック・モロー、丹波哲郎 他
原作:石ノ森章太郎
特撮監督:矢島信男
監督:深作欣二

ストーリー

宇宙征服を企むガバナス帝国に侵略された惑星ジルーシアの長老はガバナスの次の標的が地球と分かり、戦士のみが持てる8つの「リアベの実」を宇宙に放って孫娘エメラリーダ王女に戦士達の捜索を託すのだった。

レビュー

第一作目のスターウォーズが公開され世界中は空前のSFブームに沸いていた。
日本も例外ではなく、そんな中製作公開されたのが本作「宇宙からのメッセージ」だ。
物語は「南総里見八犬伝」をベースに石ノ森章太郎が原作を手掛け、コミカライズも行われた。
実写版の本作は当時非常に力が入った作品で、ゴールデンタイムに2時間枠の特番を組み宣伝を行うと言う熱の入れようだったのを記憶する。
撮影も東映太秦撮影所全面協力で、撮影所敷地内の空き地に実物大の宇宙帆船「エメラリーダ号」のオープンセットも用意された。
この他にも主人公達が乗り回す宇宙戦闘機なども全て実物大モデルが用意され、破格の製作費(14億円)が投入されたようだ。
撮影にも当時国内に2台しか存在しないシュノーケルカメラを用い、宇宙要塞の狭い配管を飛び回る宇宙戦闘機の臨場感あふれる様子が表現された。
後にこれら撮影技術は宇宙刑事シリーズなどのTV特撮番組に流用されることになる。
俳優陣も東映のスターに加え、TV番組コンバットで活躍したビック・モローを迎えインターナショナルな雰囲気を醸し出す布陣が打たれた。
しかしこれら莫大な予算や撮影技術を投じても出来栄えを見ると?と思わざるを得ないと僕は思った。
当時小学5年生の僕は映画館でこれを観たのだが、お金が掛かっている割には何か物足りなさを感じる作品だと思った。
今にして思えば、例えば宇宙船が吐く炎ひとつにしてもTV特撮でよく見られる花火を用いていたりするのだ。
これが東宝作品の例えば「妖星ゴラス」に登場する宇宙船であればジェットの表現に花火などは使わない。光学処理でリアリティを醸し出すはずだ。
この辺り東映作品の伝統なのだろうか?深作欣二と言うある意味スター監督がメガホンを取っているにも関わらず、特撮ものに関しては円谷英二監督の後塵を拝しているのは明白だと思う。
そして本家スターウォーズとの違いだ。
比べるまでもなく出来栄えは本作がかなり劣る。
しかしスターウォーズ1作目は製作中は20世紀フォックス内でもオフィスの片隅で得体の知れないSF作品を作っているとの認識しかなかったらしい。
方や東映がある意味社運を賭けて製作されたのが本作だ。何故か?
これは推測だが「若さのエネルギー」に他ならないのではないだろうか?
スターウォーズはジョージルーカスを始め20~30代の若いアイデアとエネルギーに溢れた作品だ。
方や本作は地位も名誉もあるおじさま方が四方相睨んで微妙なパワーバランスの中で製作されたのではないか?
出来栄えは言わずもがなであろう。
とまぁボロカスに言ってしまったが、東映お得意の時代劇が宇宙空間で行われ、演じる俳優が東映やくざ映画の常連、メガホン握る監督もやくざ映画の巨匠だと思えば一粒で三度四度美味しさを味わえる作品だと言えるのではないだろうか。

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