書評:「六の宮の姫君」:芥川龍之介

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芥川龍之介の短編「六の宮の姫君」のレビュー。
 

ストーリー

六の宮の小高い丘に姫君が済んでいた。
父は宮腹の生まれだが昔気質のため兵部大輔までしか出世しなかった。
父は娘を非常にかわいがっていたので積極的に夫を取ろうとはしなかった。
姫はさして喜びも悲しみもない日常を過ごしていたが父母がただ健全であれば良いと願っていた。
 
しばらくして酒が過ぎた父がこの世を去った。まもなく父を亡くし嘆き悲しんでいた母も後を追うように亡くなった。
姫は悲しむより先々の不安の方を感じずにはいられなかった。
世話をしてくれる乳母の他頼る者がいなかったからだ。
 
多くいた召使も暇を乞い誰もいなくなり生活も目に見えて困窮した。
しかし姫は以前と変わらず歌を詠んだり琴を弾いたり日常を過ごすのだった。
乳母は姫に「甥が申すには丹波の前司が姫に是非お会いになりたいと申しております。生活もこのようでございますので一度お会いになられたら?」と申し上げたところ、姫はよよと袖で顔を覆い涙にくれるのだった。
結局は男に身を売らねばならぬ。その想像が付いたからだ。
 
しかし姫は毎夜男と遭うようになった。
乳母の言うように美男子で姫に気配りを絶やさない優しい心根だったからだ。
しかし衝立の向こうで男の求めに応じていても喜びを感じることはなかった。
そうするうちに暮らし向きはまた上向きになり屋敷は華やいだ雰囲気を醸し出すようになった。
姫は昼は双六を打ったり琴を引いたりし、夜は男と過ごした。
悲しみも少ないが喜びも少ないそう言う日常に儚い満足を見出していた。
 
ある夜男は「そなたと遭うのも今宵限り」と別れを切り出した。
聞けば父親と共に陸奥の国に赴任が決まったと言う。
姫のことは父に言いそびれており、今更言い出せない状況だと言う。
5年待って欲しい。必ず迎えに来るから」と言い残し男は去って行った。
 
 
6年の歳月が流れたが果たして男は帰って来なかった。
屋敷は荒れその日の暮らしにも困るほど生活は困窮していた。
乳母が他の言い寄る男が居るので遭って見たらと勧めると姫は「ただこのまま消え入るように(この世を)去りたい」と嘆くばかりだった。
 
更に3年が過ぎ赴任地から戻ってきた男は真っ先に姫を探した。しかし屋敷はとうになくなり行方がわからない。
探し回って洛中の朱雀門の前にある曲殿の軒先で雨宿りをしていると格子の中に年老いた尼が痩せ衰えた女を介抱しているのが垣間見えた。
一目見てそれが姫だと分かった男は姫の名を呼ぶと姫は微かに何かを叫んだきり寝床に伏せて臨終を迎えたのだった。
 
数日後、姫に臨終で読経した乞食坊主が曲殿で破れ衣の膝を抱え座っていた。
そこに一人の侍が歌を歌いながら悠々とやって来て坊主に「この頃朱雀門で女のすすり泣きが聞こえるそうだな」と問うと「地獄も極楽も知らぬ女のむせび泣きを聞くが良い。そして念仏を唱えてやれ」と侍に言った。
法師の顔を覗くとハッと何かに気付いた侍は両手をついて伏し「あなた様は内記の上人様ではございませんか。なぜこのようなところに?」
在俗の名は慶滋の保胤、空也上人の弟子の中でも高弟中の高弟だった。
 

レビュー

「宇治拾遺集」からのアレンジ。
どっちつかずの態度は運命に流されるだけ。
自分軸をしっかり確立して生きて行こう。
と言うことだろうな。

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