自分の試合直前に仲間の応援を兼ねてボクシング大会の下見に向かう~太郎のボクシング奮闘記12

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顎を負傷してしばらく経った頃、加古川市でボクシングの市民大会が開催されジムの顔見知りになった面々も出場すると言うので応援に行った。

アマチュアレベル、それも全日本や国体でないアマチュアの大会とはどんな感じなのか?それも確認しておきたかった。

 

会場に着いてみんなを探すと顔なじみのジムメイトが切った顎は大丈夫か?と心配してくれた。

また口々に痩せましたねぇ~とも言われた。

減量は順調だった。

この頃は既に食事は3食ともカロリーメイトで、間食も入れて4食としていたのだが遂にそれはしなかった。

従って3食で1200kcal、体重はライト級リミットまであと少しの62㎏くらいまで落ちていた。

 

こんな辺鄙な体育館までわざわざ足を運んだのは上記の理由の他にある練習生との約束もあったからだ。

大学1年生の練習生、こいつが絶対勝つから太郎さん応援に来て下さいよと言うのでやって来た。

彼とはもう付き合いもないが名前を出すと不都合があるので、ほら吹き君とでも言っておく。

 

はっきり言ってこいつは初対面から変な奴だった。

僕が練習を再開した5月頃に入門するやいなや、毎日練習に顔を出して手当たり次第に他の練習生にちょっかいを出しては指導する。

自分もど素人のくせにだ。

どういういきさつだったかは忘れたが、僕もいきなりマスボクシングの相手に誘われステップが悪いだの、ボディワークはこうした方が良いだの、今のマスボクシングはなってないだのと散々言われた。

 

子供相手に本気で腹を立てるのも大人げないと思ったので適当にうんうんと言っていなしていたら、余計に懐いて調子に乗って来たので数回怒ってやったこともあったが最後までそんな調子は変わらない奴だった。

語弊はあるが今の子特有の根拠のない自信を振りかざすが、リスクは取りたくないと言う都合の良い性格の少年だと言うのが僕の見立てだった。

まぁしかしかわいい部分もあったのは確かでみんなからもよく構われていた。

僕は強い、いずれプロになると言うのがこいつの口癖だった。

じゃあもっと真剣に練習しろよ(笑)

 

そんなほら吹き君が今度市民大会に出るので太郎さん是非応援に来てくださいと言うので人の好い僕はわざわざ加古川くんだりまで車を走らせたのだ。

そんな彼はと言うと試合前からお前はどこの偉大な世界チャンピオンだ?と言うくらい横柄に構えていた。

アップもゆったり、余裕しゃくしゃくでリングに上がり、試合が始まった。

何とか攻勢に出てさぁこれからと言う時に辰吉丈一郎ばりの挑発をしたりと詰まらないことばかりする。

「お前、要らんことするなー!」応援席からワーワー声援が飛ぶ。

 

そんなこんなだったが彼は無事勝利を収めた。

コーナーに戻る時セコンドについてたYさんを見て泣いていた。

こう言うところは子供だと思った。

 

メインイベントのほら吹き君の試合も終わったので僕はもうひとつの目的である市民大会にはどんな選手が出ているのか?を見ることにした。

総じてレベルが高い。

リーグ戦に出るレギュラー選手を漏れた学生なども出場している。

いくら補欠とは言えなかなか切れのある動きをしている。

横でアップしていた「仏心」と刺繍されたトランクス履いている選手はミットに仏心を微塵も感じさせないすごいパンチを打っており、その打音が館内に鳴り響いていた。

 

「市民大会でもこのレベルか・・・」

僕は次第に表情が曇って来るのが自分でもわかった。

僕はこんな中で伍してやっていけるのだろうか?

そんなことが脳裏をよぎる。

 

家に帰ると奥さんから顔色が悪いなと言われる。

さてはあんた今日試合見に行ってビビったんと違う?

 

そんなことないよ!と言いながら心の中では図星なこと言わんといて!と思う僕であった。

 

(つづく)

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