後厄で遂にボクシングのリングに立つ!~太郎のボクシング奮闘記13

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「1回目開始」

アナウンスとゴングが鳴ると同時に僕はリング中央に躍り出た。

ボコボコ相手のパンチが飛んでくる。

かわそうとしてなのか相手の攻撃に押されたのか、上体を折り曲げてうつむいてしまう。

それでも上からは容赦なくパンチが降り注いでくる。そんな状態の中で「あぁ、これが若者の勢いと言うものか・・・」と客観的に殴られる自分を冷静に眺めている自分もいる。

 

「ストップ!」

レフェリーが試合を止めた。

僕の上体がルール以上に下がったので指導が入ったのだ。

あと2回続くと減点となる。

 

・・・

 

ついに当日がやって来た。

とあるアマチュアボクシングジム主催のスパーリング大会。

場所は大阪市のなみはや体育館、立派な会場だった。

どうなるだろうと言う気持ちと半ばどうにでもなれと言うヤケクソな気分相まみれた状態で朝を迎えた。

前日は何を食べたのか憶えていないが、カロリーメイト一本くらいだったか。

余裕があったのでオレンジジュースも1本飲んだような気もする。

僕のジムからの出場は男女合わせて7~8人だった。

計量が開始され60㎏がリミットのライト級のウェイトに対して僕の体重は58㎏。

60㎏を割ったのは実に30年振りだった。

持って来たパンが異様に美味かった。

たちまち顔や身体に生気が甦って来るのがわかってちょっとビックリした。

 

一息ついて辺りを見渡してみるとそれぞれの出場者達がジムの会長とおぼしき人にミットを持って貰ったりしている風景が見える。

ウチは?と会長に聞くと「持って来てませんね・・・」との寂しい返事が返ってくるのみだった・・・

結局その後応援に来てくれたジムのボランティアトレーナーの方にして貰ったので事なきを得た。

有難い話だ。

 

試合は順調に進み、ジムの仲間も何人か臨んだが全て負けてしまっていた。

確か僕はジム内で3番目のスタート。

ここらで勝って弾みをつけたいところだった。

事前に聞いていた僕の相手は元ジム生で1年くらいしてこのスパーリング大会を主催するジムに移った人とのことで熟練レベルは僕と同程度のようだった。

嫌が上でも緊張とテンションは上がって行く。

友人が二人応援に来てくれていたのだがどこに居るのだろう?

後から聞いた話ではその時の僕は今まで見たことがないくらい殺気立っていたそうでとても声を掛けられる様子ではなかったとのことだった。

 

・・・

 

これがきっかけになったのか、一度仕切り直して僕は相手に向かってパンチを出し続けた。

まだロクにガードもできない半端な状態での出場だ。

右ストレートもまともに打てない。

それでも僕は手を出し続けた。

もう1R目か最終ラウンドかも覚えていない(試合は2分2ラウンド)。

相手がコーナーに下がってちょっとうつむいたように見えた。

 

 

「ストップ!」

 

 

今度は何?と思って佇んでいるとレフェリーは僕を指差し、ニュートラルコーナーに向かうよう指示し相手に対してワンツースリーとカウントし出した。

今の攻撃がダウンと判断されたようだった。

「よっしゃ!これはチャンスかも知れない!!」

カウントが終了すると同時に僕はフィニッシュブローを叩き込んでやろうとコーナーを飛び出した。

 

たのだが、自分が思っている以上に疲れていたのかパンチは超スローモーションで空振りに終わった。

疲れた時の空振りほど体力を消耗するものはない。

もう僕はヘロヘロでパンチを出すのがやっとの状態。

一発打つごとに顎が上がる。

 

「アゴ引けーっ!!」

 

リング外のジムの応援団からの声だけはわかったので「いかんいかん」とアゴを引く。

相手も相当疲れていた様子なのは分かったがお互いなす術なくリング中央でノーガードで殴り合うのみ。

「疲れた、もう手が上がらん・・・」

と思いながらも最後まで弱弱しいパンチを繰り出す。

 

カーン!

 

終了した。

コーナーに戻ってどうやろう?とセコンドに入ってくれてたHさんに聞くと勝ったよとのこと。

ホントかな~?

 

両者リング中央でジャッジを待つ事しばし。

手が上がったのは相手の方だった。

ダウン一度を取り善戦したが負けてしまった。

まぁ若さの違いかな。

 

後日この試合について話をするとこれは僕の勝ちだっただろうとの返事をよく貰った。

色々客観的な判断はあるにせよ、闘っていた当の本人は落としたかな?と感じたので多分自分の判断は正しいと思う。

しかし何事も最初が肝心だ。

僕は落としてはいけない初戦を落としてしまったことでその後の闘いにちょっと影を落とすことになる予感がするのだった。

次回は翌週の本命「姫路市市民ボクシング大会」だ。

帰りがけに数カ月ぶりにラーメンを食べたらこの世のものとは思えないくらい美味かった。

 

(つづく)

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