いよいよゴング。3ヶ月の練習の成果が試される時がやって来た!~太郎のボクシング奮闘記15

広告

前回はこちら

allseasonski.com/archives/4692

 

当日は体育の日らしく快晴だった。
ボクシング大会は単独で開催される訳でなく、手柄山中央公園の体育施設をフルに利用した陸上、野球など数々の競技が開催される中での1種目だった。
もう市を掲げて開催される一大体育大会の様相だった。

ボクシングは姫路市民球場の一角にある姫路市ボクシング協会の会場で行われる。
ジムのスペースが狭いのでアップは前の広場でおこない、ジムに入れない観客は窓の外から応援し、のどかな草大会の一面も見せている。

ジムの会長や他の出場者が到着し、集合して注意事項と会長が収集した対戦相手の情報をここで聞いた。
やはり僕の相手は試合経験はなくキャリアの浅い選手とのことでそんなに手強い相手ではないとのことだった。
やはり昨晩聞いた話は本当だった。よし、今日の勝利は頂きやな。と僕は1人内心ほくそ笑むのだった。

やがて計量が始まった。
ウェイトが落ちず空き地で必死にシャドウしてた人も数キロオーバーでクリア出来たみたいだ。
どうやら体重制限はそんなにシビアではないみたいだ。
僕はやはり58kgで余裕でクリアした。
「今日はどんな展開になるやろう?余裕で勝てるかな。」と相変わらず取らぬ狸の皮算用でまた1人で悦に入る僕だった。

いよいよ僕の順番がやって来た。
奥さんも見ている。
ここは良いところ見せないと。
見れば相手は若い。
色白でヒョロッと背の高い青年だった。
リング中央でグラブを合わせていざゴングがなった。
僕は余裕をかましてリング中央に出て行き軽くジャブを打った。

ボカッボカッドスッ!!︎
いきなりハンマーのように長身から打ち下ろされるパンチが僕の顔面を襲った。
先ほどまでの甘い夢想は一瞬にして霧散した。
「何やコイツ?無茶苦茶ハードパンチャーやないかっ!?」
一気に目が覚めたぼくは反撃にでるが一度出鼻を挫かれた状態から立て直すのは容易ではなかった。
防戦一方でコーナーに詰められ鉄槌のような右ストレートを喰らい最初のダウン。
レフェリーのカウントを聞く間体力の回復を待つが食らったダメージは大きくエイトカウントくらいではなかなか失った体力は回復しない。

再開してまたボコられる。
何とか1ラウンドをしのいでコーナーに戻る。
セコンドのYさんもなす術なく「ガード高くして手を出して行け」との指示。
反対の立場でもそれしか言えないだろう。
セコンドアウトして第2ラウンド。
もう大丈夫だと踏んだのだろう。いきなり相手の猛攻を受ける。
僕はなす術なくロープに詰められ甘くなったガードの隙間から打ち下ろされた相手の右ストレートを左頬にモロに受けてそのままKO負けとなったのだった…

今回想すると、明らかに油断以外の何物でもない。
相手はハードパンチャーで強かった。
再戦しても結果は再び負けかも知れない。
しかしもっと展開は変わっていた筈だ。
僕は実につまらない負け方をしてしまった。
過去5戦の中でこの敗退が一番残念に思っている。
心の緩み、慢心、油断言葉は変わっても同じだろう。同じ負けるにせよ一番やってはならない負け方だったと思う。

止せば良いのに閉会後対戦相手に感想を聞きに行った。
優秀選手で表彰された彼は僕を評して「ガードが甘く楽だった」と言い放った。
惨めだったがこれが全てだったのだろう。全て自分の責任だ。

「また来年おいで」

帰り際にお礼と挨拶に伺った姫路協会の会長は昨晩と変わらずにこやかな表情で見送ってくれた。
大きな敗北感と脱力感を抱えたまま僕は夕暮れの姫路を後にした。このままで終われるか・・・
もちろん道中で奥さんの説教が延々続いたことは言うまでもない。

(つづく)

広告

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です