太郎vs猛獣 果たしてどうなる?~太郎のボクシング奮闘記21

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「ダメだこりゃ」

そう思いながらリングに上がった。

言うまでもなくボクシングなど格闘技の試合では気持ちの強さが勝敗を大きく左右する。

勿論勝負なのでどちらかが勝てばもう一方が負ける訳だが、最初から負けることを前提にしてリングに上がることなどはしない。

しかしこの時の対戦相手は明らかにダメだと相手に思わせるような雰囲気を十二分に醸し出していた。

 

リングに上がると背丈も身体の分厚さも僕より二回りくらいデカくガッシリとしている。

その姿はまるでゴリラか超人ハルクのようだ。

ウェルター級のリミットは68㎏だがどう控えめに見ても絶対に75㎏はあるだろう。

こっちはきっちりウェイト作って来てるのにアカンやん!ウェイトくらい合わせて来いや!!

 

とかリング上で思っている内にゴングが鳴り試合開始。

先ず僕が先手でジャブを相手の顔面と胸元に集中させた。

効いているのか?

確かに当たってはいるのだが効いているのかどうか分からない。

相手はそのデカい身体に似合わない身軽なステップを踏み出した。

 

もう一度ジャブを放って右ストレートを放ったその瞬間、バババッ!っと速射砲のような連打が飛んで来た。

思わずガードをして耐えたが、その後こめかみにフックを喰らい一瞬意識が跳んでしまった・・・

かなり強烈なパンチ力の持ち主だ。

その後も僕は攻め続けたが相手の軽やかなステップでかわされ、決定打を打てない始末。

その後隙を見て相手の連打を喰らってしまう。

 

ゴングが鳴り第1ラウンドが終了した。

セコンドはもはや諦め顔になっているのが分かる。

普通であれば自分がセコンドに付いてる選手に対して匙を投げるとはどう言うことだ!?と憤るところであるが、まぁ仕方ないかなと思ってしまう僕も僕だった。

「藤原さんが思うように思い切って行ってください」

と玉砕覚悟で相手に突っ込めと言わんばかりのアドバイスを貰って僕は第2ラウンドのゴングが鳴ると同時に飛び出して行ったのだ。

 

相手も僕の力量を見切ったのだろう。

雨あられのようにパンチが振り降ろされて来る。

そこでスタンディングダウンを取られた。

しかしカウントを聞く間、僕の戦意はまだ喪失していなかった。

何とか一矢報いたい!

そう思ってOトレーナーに言われたようにウェルター級対策のガードで相手に突っ込んで行ったのだが、ガードの下から速射砲のようなアッパーを喰らい・・・

後にも先にもあんな速射砲のようなアッパーを連打されたのはこの時限りだった。

 

アタタタタタタッ!!

 

オラオラオラオラオラオラッ!!!

 

 

僕はまるでケンシロウとジョジョのスタンドから同時に攻撃を受けた紙人形かボロ雑巾のようにリング上で翻弄され続けたのだった。

 

瞬時にレフェリーが割って入ってレフェリーストップ。

当然のごとくこのラウンドでRSC負けとなった。

かなり根を詰めて準備してきたつもりだったが全く歯が立たず、コーナーに帰ると自分の不甲斐なさに思わず涙がにじんだ。

しかし対戦相手は試合経験もないと聞いていたのにあの身のこなしとパンチ力、一体どういう人物なのだろう?と素朴な疑問が浮かんだ。

 

試合が全て終了したので、お礼を述べるために姫路協会の会長、そう昨年見事にはめられたあのタヌキおやじ、いや、話好きのジェントルマンに挨拶に伺った。

対戦したゴリラは姫路ボクシング協会の練習生だった。

事前情報では試合経験がないと聞いてたんですけど、すごいパンチ貰いましたと伺うと会長。

 

「あぁ、君よく頑張ったね。でも惜しかったね。あいつボクシングの経験がなくてな、ストレートパンチが打てないんよ。何せ総合格闘技からボクシングに転向して来たヤツやからパンチの打ち方が下手でアッハッハ!」

 

 

・・・・

 

こらこらおっさん・・・何笑って誤魔化しとんねん?ほんで何言うとんねん?そんなヤツ爽やかな体育の日に開催されるレクリエーション競技に送り込んで40過ぎのオッサンを半殺しの目に遭わせるんじゃねーわっ!!!・・・

所属するジムの会長の情報収集能力の無さとまたしても姫路ボクシング協会の古狸に翻弄されてしまったのだった・・・

 

かくして僕はかなりのダメージを受けその後回復するのに約1カ月間も費やすることになった。

これで3戦3敗2KO負け。

果たして僕は一勝することが出来るのだろうか?

 

・・・・

帰りの山陽電車の中で関取くんと僕。

関取くんも大学で鳴らしたファイターに翻弄され、ここ最近では珍しく苦い敗戦を味わった。

二人で敗戦を噛みしめながら交わす会話で関取が言うには・・・

「僕、来年で区切りつけようと思ってますねん。練習行くたびに娘が「パパ夜にどこ行くの?遊んでほしいなぁ」と言うのに胸が痛くなりますねん。藤原さん、二人で来年区切り付けませんか?」と真剣な表情で言ってくるので僕もそうやなぁと頷いた。

僕も目の手術は終えたものの、このまま目に不安を抱えたままでこの先ボクシングを続けて行くわけにもいかないだろうとは漠然と考えてはいた。

来年あたりをひとつの区切りとするのが良いかも知れない。と僕はそう考え始め、それに向けてもう一度本格的に鍛え直そうと思い始めた。

藤原さん!一緒に有終の美を飾るために頑張りましょう!

と言ってた関取がその愛娘に世の中危険がいっぱいで何があるのか分からんので護身術を付けさせると娘を出汁に使って今だボクシングを続け、つい先日もスパーリング大会に出場していたことを僕は知っている・・・

 

(つづく)

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