Kトレーナーの指導で上達を実感したのでスパーリング大会に出てみた~太郎のボクシング奮闘記25

広告

前回はこちら

http://allseasonski.com/archives/5234

 

とかく人間性には問題があったKトレーナーだが、彼の教えを受けてボクシングの動きが再構築されて行く、特に今までどうしても身に付かなかった防御が目に見えて改善していき、スパーリングなどでも効果的に相手のパンチをかわすことが出来るようになり、ダメージを蒙ることも少なくなってきた。

要は行けるんじゃないか?と言う自信みたいなものが芽生え始めた。

 

Kトレーナーがジムに戻ってきた直後、初陣のスパーリング大会を主催したジムが6月にまたスパーリング大会を開催すると言うことでその案内がジムに掲示された。

これは別途会場を設定したものでなく主催ジムで行うとのことで、体重制限もそんなに厳しくない気軽に参加できるものだった。

僕は最初出場するつもりはなかったのだが、Kトレーナーから腕試しと言うことで気軽に出れば良いんじゃないか?と言われたのと、自分の実力が果たしてどのくらい上がったのか試してみたいと言う気持ちもありエントリーすることにした。

体重制限の緩さも出場を決めた要因だった。

 

順調に実戦練習もこなし大会が目前に迫って来た。

日が近づくにつれ、今までに感じたことがないくらい気分が重くなって来た。

緊張だけではない。何だろう?と思うと恐怖感だった。

やはりKを引きとめる時ジムに出入りするプロボクシング経験者や学生時代アマチュアで鳴らしたトレーナーとの話で僕はボクシングをすることについて深く考え込むようになってしまったのだった。

 

昨日まで一緒に練習して酒を飲んでいたジムメイトがボクシング禍で命を落とす、大学のクラブの同級生が激しい殴り合いの後ぐったりして救急車で運ばれ治療空しくこの世を去る。

そんな話を嫌と言うほど聞き、ボクシングに対する見方が大きく変わった時だった。

しかし恐怖を感じながらでもリングに上がって相手と対峙しなければボクシングは成立しない。

そのバランスを保つことが非常に難しかった時期でもあった。

 

ジムでの練習を終えて帰宅しようとするとすれ違う練習生から口々に頑張ってください!と言われるのも有難かったが同時にプレッシャーも掛かった。

中にはSNSで頑張って欲しいとわざわざ目に付くように面白おかしく投稿するお節介な奴もいたのでそれにもまた神経をすり減らすこととなった。

 

明けて翌日、若干憂うつな気持ちで新大阪にある会場のジムに向かった。

閑静な住宅地に存在する瀟洒なそのジムにはスパーリング大会に出場する選手たちで溢れかえり、周囲の風情にそぐわない熱気を醸し出している。

エキジビションで予定されている元世界チャンピオンのイーグル京和選手の姿も見える。

Kトレーナーが顔見知りらしく何やら談笑している。

 

試合は順調に進み、世界チャンピオンと志願者のスパーリングのエギジビションマッチも終わり、いよいよ僕の出番がやって来た。

やや小ぶりのリングに上がり対戦者と対峙する。

年齢はちょっと下くらいか、背格好は僕と同じくらいの明石のジム所属の選手だった。

 

グラブを合せゴングが鳴った。

ここまで来たら行くしかない。そう思ってジャブを出しつつプレスを強めていった。

ところがである、思ったようにジャブがヒットし、こちらのプレスに対してさばくでもなく、明らかに効いているように感じる。

これはいけるんとちゃうか?(注 大阪弁:これは大丈夫なんじゃないだろうか?)」

パンチを出しながら頭の片隅でそんなことを思い浮かべていた。

 

(つづく)

 

広告

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です