映画レビュー:「パラダイスアレイ」(監督/脚本/主演:シルベスター・スタローン 1978年アメリカ)

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「パラダイスアレイ」(監督/脚本/主演:シルベスター・スタローン 1978年アメリカ)の作品レビューです。

 

概要

1978年アメリカ映画

監督/脚本/主演:シルベスター・スタローン

共演:リー・カナリート、アーマンド・アサンテ、テリー・ファンク 他

音楽:ビル・コンティ

ストーリー

1940年代のニューヨークヘルズキッチンで生きる三兄弟の人間模様を描く。

策略的な夢想家の二男コズモは何とか一発当ててこの極貧の状況から抜け出したいと思っている。傷痍軍人で現在は葬儀屋で働く物静かな兄レニーの元彼女アニーにもちょっかいを掛けている。

心優しく物静かな三男のビクターはその力を活かしきれないまま15歳から氷の運搬でその日暮らしの日々だ。

たまたま忍び込んだ界隈一の社交場「パラダイスアレイ」では懸けプロレスが行われており、飛び込みで参加したビクターはそれに勝利してしまう。

コズモは自身がマネージャーとなり、弟をパラダイスアレイ所属のプロレスラーとしてトーナメントに参加させ、賞金でこの生活を脱出しようと画策するのだが・・・

レビュー

本作は主演作「ロッキー」ヒットの後、初の自身の監督・主演作品として公開された。

ニューヨークヘルズキッチンと言うスラムを舞台として、そこに生きる3兄妹の物語を自身の生い立ちと照らし合わせて作品としたものだ。

初監督作と言うことで多少のぎこちなさは否めない感が拭えないが、それでもどん底の生活の中でもそこを抜け出す明日を夢見る人々の心情が生き生きと描かれている。

さすがロッキーの脚本を自身で手掛けただけの人であると思わせる。

配役としては自身を二男コズモ役に据え、弟のマネジャーとしてのし上がろうとする計算高い人物を演じている。

言う間でもなくスタローン本人は長らく下積みを経験した役者なので、ロッキーのヒットをチャンスに何とか生き延びようとしていた時期だと思われる。

この作品での一歩引いた配役や長回しのセリフなどは後の彼の作品にはなかなか見られず、おそらく演技派俳優としてキャリアを積もうとしていたのではないだろうか?

主役の3兄弟だけでなく、脇役の悲哀に溢れたキャラクターも良い。

圧巻なのは弟ビクターが初戦で破った老レスラーがクリスマスイブにコズモと街中で羽目を外し、今日ほど愉快な日は無い。だから楽しいうちに死ぬと飛び込み自殺するシーン。

サラッと切ないセリフを残して死んでいくレスラーと虚無的に見送るスタローンの姿が悲哀溢れる情景ををそう感じさせずに表現した見事なシーンだ。

クライマックスにビクターと対戦するレスラーは往年の名レスラーのテリー・ファンクが演じる。

哀愁に満ちた風景、人物そしてなかなか聞けないスタローン本人による主題歌が冒頭とクライマックスを飾る。

無名時代の歌手トム・ウェイツのスクリーンデビュー作でもある。

ヒットはしなかったが哀愁の中に希望と兄弟愛を描いた名作だと思う。

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