タレントの大橋巨泉さんが亡くなられたことを今日のニュースで知った。82歳だったそうだ。
数字だけ見れば長寿と言えるのだろうが、2005年頃からガンが見つかりそこからの闘病生活なので一概に長寿を全うされたかどうかは疑問なところだろう。
ともあれご冥福をお祈りしたい。
巨泉さんは僕たち昭和40年世代にとって好き嫌いは関係なく切っても切れないご縁の人だと思う。
テレビを点ければ番組CMに関わらずどこを見ても彼の顔が映ったし、面白いと思って見てた番組はおしなべて巨泉さんがプロデュースした番組だったりするからだ。
交友関係も非常に広く、想像以上の影響力と人望があったのだろうと推測する。
20年くらい前に、当時まだTV番組の司会をしていた上岡竜太郎氏が巨泉さんを差して、「大橋巨泉何者か?」と言い放ったことがあったが、後日あの難しい上岡竜太郎氏が巨泉さんの前では借りてきた猫のようになってしまったのには驚いた記憶がある。
TVの企画とは言え多分に真実も含んでいたのではないだろうか。
僕が子供の頃には我が家ではアンチ巨泉派だったことを思い出す。
親父が嫌いだったのだ。
何でも若い頃ラジオで聴いていた「東西対抗バンド合戦」とか言う番組の司会をしていたのが大橋巨泉らしく、俳号を模した芸名と辛気臭い司会トークが嫌だったそうだ(笑)
だから物心ついた時から巨泉さんの悪口しか我が家では聞いたことがなく、僕もそう言うもんだと思って彼を見るようになったと思う。
そんな巨泉さんだが、僕は知らず知らずのうちに彼から大きな影響を受けていた。
これも20年くらい前だったが、たまたま「さんまのまんま」に巨泉さんが出ており、その中で自著の新刊「巨泉」のアピールをされていたのだ。
その中で「健康には充分注意しなければいけない」と言うことを言っておられ、特に「煙草は止めろ」とさんまさんに強く訴えていたのをよく憶えている。
後日僕はそのことが気になったのでその本を購入し、一通り読んで感じるところがあったので煙草を止めそれが今に至っている。
その本の中には、巨泉さん自身健康には人一倍気を遣っており、健康診断でおかしなところが発見されれば即治療をしてきた。手術が必要なものであれば迷わず手術を受け今に至っていると言うことも書かれていた。
それが本当なら非常に皮肉な晩年ではないか?とも思う。まぁ結果論ではあるのだけれども。
同時に人間の一生なんて何が幸せで何が不幸なのか本当に分からないものだとも思うのだ。
芸能界や放送業界に止まらず各界に大きな影響を与えた大橋巨泉。
ウザいおっさんでどちらかと言えば嫌いなタイプで、何より遠い存在なので関係ないと思っていたが、20年前の僕は確かに影響を受けていたことを今回の訃報ではっきりと思い出した。
人生で影響を受ける本は何冊かあったが、図らずも「巨泉」もその一冊だったのだ。
傍目には思いのまま好き勝手に生き切った感があるが、本人はどう思っているのかはもう誰にも分からないが、昭和の大きな時代がまたひとつ終わったことは確かだろう。
実は大きな影響を与えてくれた巨泉さん。謹んでご冥福をお祈り致します。
どうか安らかに。
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