YMOの中期活動を代表する「BGM」のレビュー。
1980年の暮れ、YMOは2回目のワールドツアーの締めくくりとして日本武道館で凱旋公演を行った。
レコード大賞なども受賞して当時の彼らは一種社会現象として捉えられていたと思う。
音楽雑誌などを見ても彼らのような音楽は好きか?と言うような企画も組まれ、良くも悪くも彼らは台風の眼だったのだ。
そんな中彼らはニューアルバムのレコーディングに入ったとの情報を耳にした。
当時中学生だった僕たちは「Solid State Surviver」以上の派手なテクノポップの登場を待ちわびて発売を今か今かと心待ちにしていた。
そして3月21日待望のニューアルバムが発売された。
僕らは勇んでレコード屋さんに買い求めに走った。そしてレコード針をドキドキしながら盤に落とした。
そして僕の友人たちの殆どはYMOのファンを辞めてしまった・・・
エキゾチックで派手な電子楽器による楽曲は全てどこかに消し飛び、無駄をそぎ落とした非常に暗い楽曲のオンパレード。
聞けば世間のファンの多くもこれを機会に随分離れたと聞く。
これまでの活動を全て自己否定した作品を彼らは世に出したのだった。
この頃リリースされた坂本龍一のソロ「B-2UNIT」もそうだが、セールスを意識せず自分たちが作りたいものを作ったと言う意義は非常に大きいと思う。
おそらく現在では余程大物でもそれは許されない行動なのだろうが、海外公演の成功による彼らの貢献がそれを可能にさせたのだろう。
結果今でも語り継がれる名作を生むことになったのだ。
この中には日本で初めてのラップミュージックも生み出されている。
彼らはいつも時代の50歩先を行く最先端のミュージシャンなのだ。
時代に迎合しないこの作品は今でも世界で絶対聴いておきたいアルバムの20位以内にランクされているらしい。
それは当然のことだと思う。
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