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約一時間の体験入会が終了した。
体験入会は三回まで可能とのことだったが、僕はこの一回で入ると決め、はやる気持ちで入会金と10回綴りのチケットを購入したのだった。
ボクシングを始めるんだと思ってひと月くらい前からジョギングなどしておいて良かった。
初心者の割には身体が動いて疲れた様子も見せないのであのトレーナーちょっと一目置きよったんちゃうか?などとつまらないことを夢想しながら僕はじんわり滲み出た心地よい汗を感じていたのだった。
たかがワンツーの打ち方を習っただけ。
それも満足に打てやしないし、フットワークなんて使える訳もない。
それでもこのおめでたいおじさんは何だか強くなったような気がしていつもより、堂々と電車の吊り革に手を掛けて辺りを見回すのだった…
第2章:縄跳びに四苦八苦
2日ほど経って入会後初めて練習に行ってみる。
アマゾンで急いで買い求めた真新しいレスリングシューズ(ボクシング専用シューズを履いているのは皆無で殆どがレスリングシューズを履いていることが多い)に少し恥ずかしさを感じながらジムの隅っこで黙々とバンデージを巻く。
それが上手く行かず何度も解いてはまた巻き直すと言う段取りの悪さ。
後から思えばどうってことないのだが、その時は留め具のマジックテープが逆向きになるとダメなんだと思い込んでいたのがおかしい。
反対に折り曲げれば事足りると言うのに…
初心者のジムでの大まかな流れはストレッチに始まり、屋外での縄跳び、シャドウボクシング、そして会長かトレーナーが相手してくれるミット打ち、そしてサンドバッグ打ちと言うところだ。
先ずはロープスキッピング、つまり縄跳びであるが困ったことに僕はこのウン十年縄跳びなど跳んだことも触ったこともなかったのだ。
当然格好良く跳べる訳もなくドタッドタッと五回跳んでは引っかかるを繰り返すばかりだ…
跳んだ回数を数えながら、引っ掛かれば次はそれをクリアするように回数を増やしていくことの繰り返し。
もちろんスキップするように格好良く跳べるはずもなく、苦労の末やっとそれらしく跳べるようになったのはひと月くらい経ってからだった。
ある休日の練習、ウォーミングアップでロープを跳んで、ラスト10秒でラッシュを掛けた時にそれは起こった。
気分はまるでロッキー、足を高く上げて回転を速め気分に浸っていた最高潮で突然右ふくらはぎに激痛が走りその場に倒れこんだのだった…
プチンッ!と音がしたかも知れない。
結果は肉離れ。
いくら走っていたとは言え老朽化した柔軟性のない筋肉に激しい運動は禁物だったのだ…
結局その日は縄跳びをしただけでトレーナーに応急処置をして貰ってそのまま足を引きずって帰ることになった。
谷町九丁目から足を引きずりながら大阪南部まで電車を乗り継いで帰ることの何としんどいことか。それだけが記憶に残っている。
しばらく放って置いたら治るだろうと放置していると数日経って足を見ると足首から足裏にかけて見たこともないくらい真っ赤になっておりビックリして病院に向かう。
「何故こんな状態になるまで放っておいたのか!?」とお叱りを受け、練習1カ月目にしてしばらくボクシングから戦線離脱することになったのだった・・・
(つづく)
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