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眼の手術は無事に成功した。
まぁ白内障の手術なのでそんなに大掛かりなものではなかったのだが、5月にオペを行って練習に復帰するまでに約1カ月を要した。
当然実戦練習は出来ず、折角養った実戦感も薄くなりまた一からやり直しである。
マスボクシングを行ったのが7月に入ってから。
当てない形式と言いながらも勢いでパンチは当たってしまう。
顔面にヒットして目が圧迫された時はヒヤッとして逐一流れが途切れてしまうのが情けなかった。
「あ~、今年のスパー大会への出場はキャンセルやな」漫然とそんなことを考えながらジムワークをこなす日々、何となく張り合いはなく併せて無くなった実戦感のまどろっこしさにイラつきながら日々過ごしていたように思う。
そうこうする内に9月となり、関取くん達は今年もスパー大会に出場するため練習にも熱が入って来た。
僕は今年は出ないと決めてたのでセコンドでもやるか、と完全に裏方に徹するつもりだった。
「藤原さん、スパー大会出ないんですか?」とOトレーナーが僕に話しかけてくる。
「出れる訳ないやろ!」と思いつつ怖いので言えず、「まぁ目の手術終えたばかりですんでねぇ」と適当に返していた。
そんな返事をしてるのに何故か彼の僕に対するミットはきつくなる一方だった・・・
そうこうする内に関取くん達のスパー大会、昨年僕が初めて出場した大会がやって来て僕が彼らのセコンドに付いたからかどうかは分からないが全員勝利を飾ることが出来た。
ジムに帰ってOトレーナーに報告すると、
「素晴らしいね、藤原さんはセコンドの素質あるんじゃないか?」と言われまんざらでもない僕。
「で、次は藤原さん出るんでしょ?」はぁ?何言ってんのこのオヤジ??
出ないって言ってんじゃん。
その後練習に行く度に「藤原さん、姫路大会のエントリー始まったよ」
「藤原さん、出ないの?」
「藤原さん、エントリーの締切もうすぐやで」
おっさん!俺に何をさせたいねんっ!?出ないって言ってるだろうが。
・・・
ある日の昼休み、休憩室で一人休憩しているとOトレーナーの言葉が甦って来る。
「藤原さん、闘わないの?」
・・・
僕は携帯電話をポケットから取り出し、とあるジムメイトにメールを打った。
「今晩スパーリングに付き合ってもらえませんか?」
しばらくして彼から返事が返ってきた。
「お疲れ様です。19時以降なら良いですよ」
「じゃあ、ちょっとお願いします」
約5か月振りに実戦に臨むことになった。
さぁどうなるんだろう?
正直ちょっと身が引き締まる思いがした。
(つづく)
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