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結果は敗戦だった。
何で?明らかに押している手応えは感じていたのに。
振り返ってみると理由はいくつかある。
まずは見栄え。
倒し倒されのイメージが強いが実はボクシングは採点競技だ。
攻撃による有効打、ディフェンス、そして優位に試合展開しているか?の3点でジャッジされる。
その中にはもちろん見た目と言うのも重視される。
本人的に押してようが客観的にガチャガチャした混戦なら相手の前進をさばいて有効打を数発入れた方にポイントが与えられる。
有効打とはナックルパートで急所を的確に捉えたパンチを言う。
それは決して相手にダメージを与えるパンチでなくとも良い。
そして有効打は着実に相手にダメージも与えるものだ。
二つ目はボディ―ブロー。
ボディへの攻撃は相手のスタミナを奪うが、なかなかポイントに繋がりづらい。
これはプロボクシングでも同様のようだ。
僕は再三ボディへ攻撃して相手が嫌がっているのを実感したがジャッジへのアピールは出来なかったみたいだ。
この状況で勝利しようと思えば相手をKOするしかないのだが、残念ながらそれは叶わなかった。
ましてや見栄えとポイント重視のアマチュアボクシングの競技に出ているのだ。
と言うことは必然的に僕の負けとなったのは仕方ないことだ。
しかしこのことを理解したのは随分後になってからだ。
この頃は相手にダメージを与えてナンボと言う考えがまだまだ頭の中を占めていたからだ。
しかし負けたものの僕はこの試合の内容、そして自分のボクシングに満足していた。
周囲から何と言われようとこの時点での僕のベストバウトだったと思っていた。
これは上に書いたアマチュアボクシングに関する僕の概念によるものだが、この時点で考えを変えていたならもしかするとその後は違う方向に進んだのかも知れない。
でもこれは結果論なので何とも言えない。
・・・
この一戦が終わってジムに出ると、ジム内で僕に対する視線が変化しているのを感じた
熱心に練習して年齢を感じさせないスタミナでパンチを繰り出し、試合を沸かせるオッさん。
「中年の星」、そんなふうに呼んでくれる人もいた。何だかこそば痒い気もしないでもなかったが若者に交じって揉まれている内にいつの間にか渦の中心にいるようになっていたのだ。
試合には負けたが勝負には勝った。
そう思い、ますます練習にも熱が入るようになってきた矢先、突然の疲労が身体を襲うこととなった。
どうやら熱中症と過度の減量による体調不良のようだった。
無理な減量が夏場に来て衰えかけた肉体に負担を掛けたのだ。
秋の本番に向けての調整は慢性のこの全身倦怠感と共に進めていくことになった。
(つづく)
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