中年の星 対戦を申し込まれる~太郎のボクシング奮闘記28

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7月になり秋の本番に向けての準備を開始した。

この時期の練習メニューを思い出してみよう。

練習時間は約2時間で、準備運動からシャドウ3R、ミット2-3R、マススパー2-4R、日によってスパーリング2-3R、サンドバッグ3-4R、合同練習2R、ロープ30分連続。シャドウはウェイトを持ってガードを落とさないようにしながらやり、後は首の筋力を鍛えるためにウェイトを咥えて引っ張り上げることなどもした。

おかげで治療した歯を一本失う羽目に・・・

加えてジムの周囲を数キロランニングしたりもした。

思い返しても我ながらよく練習したと思う。

全ては秋の試合で勝ちたい、その一心だった。

 

そんなある日、懇意にしているとあるジム生からスパーリングの相手をして欲しいとの申し出があった。

その時はああ良いですよと気軽に二つ返事で返答した。

彼は僕が本格的に練習を開始した時分からの知り合いで、年齢は7つくらい下で当時36-7歳くらいだったろうか。

ご夫婦でいつも練習に来て、物腰の柔らかさが印象的だなと僕は感じていた。

そんな彼も秋の試合に出ると言う。

それは熱心に練習している奥さんにけしかけられてエントリーした、そのように当時の僕は思っていた。

そんな彼がここに来てスパーリングなどを横で見ていると良い動きをするようになって来ている。

そんな時期に僕に対してスパーリングの申し込みがあったのだった。

 

ご夫婦のSNSの投稿を見ると、遂に中年の星にスパーを申し込んだと旦那さん、奥さんは太郎を倒せ!とけしかけている。

何だかすごいことになったなぁと思っていたある日の練習帰り、別の懇意にしていた練習生と飲みに行った時の会話だった。

「今度のスパーさぁ、お前ヤバいよ」

いきなりだ。

僕はかなりムッとして何故だ!と問い詰めると、そいつが言うには旦那練習生の実力アップが目に見えて上がっているとのことだ。

お前それ見てわからないの?と来た。

いやいや、絶対に負ける訳がない。実戦経験は僕の方が豊富だ。とかその場でかなり剥きになって言い合った記憶はある。

そう剥きになると言うことは実は僕も同じことを考えていたに違いないのだ。

 

それよりも一勝目指していつまでもチャレンジャーの気持ちでいたのだけど、いつの間にか追う立場から追われる立場に代わっていた事実を眼前にすることになった。

こいつを倒して更に上に行こう。僕は標的になっていたのだった。

スパーまで約1週間、勝敗は着かないが絶対に負けるわけにはいかない。

しかし口では強く言ったものの完勝する決め手が僕にはない。

一体どうする?

「まぁ頑張ってくれ」そいつはそう言い残して各々帰途に着いた。

 

それから数日、旦那練習生とはジムで顔を合わせるのだけど僕は意図的に会話をするのを避けた。

挨拶はするけど出来るだけ顔を合せない。

仲は良いが対戦が決まった以上倒すべき敵だ。そう思考を切り替えた。

敵に勝つにはどうしたら良い?そればかり考えていた。

しかし対戦前日になっても良い策は浮かばない。

どうすりゃ良いんだ?

その対戦前日にボクシングの神様が突如僕の頭に降りてくることになろうとはその時夢にも思わなかったのだけれども。

それはその日にやったマススパーと旦那練習生が投稿したSNSの内容に一発逆転のヒントがあったのだ。

 

 

(つづく)

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