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旦那練習生とのスパーリングが終了したかその前だったかもうひとつ忘れることができないスパーリングの経験があったのでそれについての思い出を語ってみたい。
展開はその時と良く似た感じだったのだが、ボクシングとはタイミングと言うのか最初の一手が本当に後々の展開を決めると言う典型例だったので印象に残っている。
相手は若い現役のプロボクサー。
Kがわざわざ試合に出るジム生のために呼んできたボクサーだった。
しかもイケメン、例えるならチュートリアルの男前にそっくりだった。
そして名前は以前TVに良く出ていた大物占い師と同じ。
仮にそのボクサーの名前は徳井和子としておこう。もちろん男性であることは言うまでもない。
僕に先だって胸を借りた関取が言うには「ムッチャ強くて危うく半殺しの目に遭わされるところだったので気を付けた方が良い」と言うことだった。
これは彼独特のカマシであることは一目瞭然だったが、何よりも現役のプロボクサー、年齢も僕と18歳くらい若いと来た。
ふ~んと聞き流しながらも内心どうしようか?とビビっていたりもした。
そしてスパーの日がやって来た。
少々ブルーになりながらも準備を済ませ、リングに上がっていざ開始となった。
相手はジャブを出しながら前進して来る。なかなか鋭いジャブだ。入りにくい。
ええい!なるようになれ!!と思い、ちょっとやけ気味でジャブから右のボディアッパーを繰り出したら何とそれがヒットした。
「ウッ・・・」と徳井和子。
僕はそのうめき声を聞き逃さなかった。これはチャーンス!!!
そのまま攻撃の手を緩めずパンチを繰り出したら徳井和子は後退するではないか。
相手は防戦一方、僕のパンチは当たる当たる。
これがボクシングの怖いところである。
いかに相手が格上であっても一発の交通事故のような一撃で形勢はガラッと変わるのだ。
1Rが終了するまで僕は攻め続けた。
2R目はさすがに疲れたがそれでも手は出し続けた。
相手はまだ僕を警戒しており明確な形勢逆転が出来ないまま終盤へ、あれはラッキーパンチなんじゃないか?と和子が気付いた時には既に遅く終了のブザーがなった。
と言う訳で僕は格上の現役プロボクサーをたった一発のラッキーパンチで手玉に取ったのだ。
TVで世界戦などを見ていてもたった一発のパンチで形勢が逆転する試合も何度か見たことがある。
まさか自分にそれが起こるとは夢にも思わなかったが、何にせよ貴重な経験が出来たと思っている。
その後この徳井和子とは2度スパーリングをした。
そしてその2回とも鼻血まみれにされたことは言うまでもない。
(つづく)
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